転職活動中、企業を選ぶときに「年収アップできるなら」「リモート勤務ができる会社がいいな」と、条件を軸に動いていませんか?
もちろん、働く上での条件は大切です。生活やライフステージに直結するからこそ、無視できるものではありません。
でも、人事として数百人の応募者を見てきた私には、ある共通点が見えるんです。それは「条件だけで会社を見ている人は、面接で必ずつまずく」ということ。
そして、条件だけで入社した人ほど、入社後に「なんか違った」とモヤモヤしやすいという現実もあります。
この記事では、人事の目線から「条件だけで会社を選ぶ人が落ちやすい理由」「後悔しない転職のために必要な“軸のつくり方”」について、実例とともに解説していきます。
「条件で選ぶ=悪」ではない。でも“軸なき転職”はバレる
誤解しないでほしいのは、「条件で会社を選ぶのは悪いこと」という話ではありません。
たとえば、「リモートワークができる会社でないと、育児と両立できない」「年収を上げないと生活が苦しい」…それは人生において大事な判断基準ですし、むしろ明確な条件があるのは強みでもあります。
ただ問題は、「なぜその条件が大事なのか?」を言語化できないまま転職活動を進めてしまうこと。
人事として面接をしていて、「あ、この人は“条件だけ”で会社を見てるな」と感じる瞬間があります。
たとえばこんなやりとりです。
面接官:「なぜ当社に応募されたんですか?」
応募者:「はい、御社がフルリモートを取り入れていて、自分の希望と合っていると思ったからです」
面接官:「ありがとうございます。他にもリモート可能な会社はありますが、なぜ当社を?」
応募者:「えっと…それも含めて、詳しく知りたいと思いました」
→ この瞬間、人事の頭の中には「条件しか見てないな」という警告ランプが点きます。
条件そのものではなく、その背景や理由に納得感がないと、“選ばれてる感”が薄れてしまうんですよね。
実は多い「転職後に後悔する人」の共通点
人事として転職者と入社後の面談をすると、「条件は良くなったのに、なんか違った」という声をよく耳にします。
たとえばこんなケースがありました。
30代男性・元営業職。年収アップを目的にベンチャー企業へ転職。
→ 「年収は上がったけど、仕事の裁量が多すぎて放置されてる感じがある。前の会社の方がチーム感があった」
→ 転職の条件は満たされているのに、モチベーションは下がっている
別の女性はこう言いました。
「在宅勤務できる会社に転職したけど、誰とも話さない日が続いて孤独だった。出社して雑談できる環境が、自分には合ってたんだと気づきました」
このように、条件だけにフォーカスして選んでしまうと、「表面的な希望は叶っているのに、心が満たされない」というギャップが生まれやすくなります。
だからこそ大事なのは、「自分が働く上で本当に大切にしたい価値観=転職の軸」を見つけることなんです。
人事が感じる「この人、ちゃんと考えてるな」と思う瞬間
では逆に、「お、この人はちゃんと考えてるな」と思う応募者はどんな特徴があるかというと、“条件の背景にある想い”まで語れる人です。
実際に印象的だった例があります。
20代後半・女性・マーケティング職希望。
「フルリモート勤務を希望しているのは、子育てとの両立もありますが、自分にとっては『時間の使い方を自分で管理できること』がモチベーションにつながると感じているからです。責任感もって成果を出す覚悟もあります」
→ リモート=楽したいではなく、「成果にコミットする覚悟」まで見える
このように、単なる条件としての希望ではなく、その人なりの意味付けやストーリーがあると、人事の印象はガラッと変わります。
表面的なキーワードより、「なぜそれが自分にとって大事なのか」が語れる人が、選考で強いのは間違いありません。
自分だけの“転職の軸”を見つけるための3ステップ
「とはいえ、自分の軸がよくわからない…」という人も多いはず。
そこで、人事としてもおすすめできる“転職の軸を見つける3ステップ”を紹介します。
STEP①:過去の「やりがい」や「違和感」の瞬間を棚卸しする
- 「この仕事は楽しかった」と思えた瞬間は?
- 「この職場は合わなかった」と感じた理由は?
→ 自分の価値観や希望条件の“根っこ”が見えてきます。
STEP②:自分の“絶対に譲れない価値観”を言語化する
たとえば以下のような視点から考えると整理しやすくなります。
- 働くうえで何を優先したい?(安定?成長?柔軟さ?)
- どんな人と働くと自分は力を発揮できる?
STEP③:条件に“理由”を持たせて、判断基準に落とし込む
「フルリモートできる会社」ではなく、「自己管理が得意で集中して成果を出したいから、働く場所に縛られない環境が合っている」
→ このように、希望条件に意味が乗ると面接の説得力がグッと上がります。
軸が見えてきたら、動き出すタイミング
転職の軸は、最初から完璧でなくてOKです。
むしろ、「行動しながら磨かれていくもの」でもあります。
「これでいいのかな?」と迷うなら、一人で抱え込まずに、キャリアアドバイザーに相談するのも手です。
最近では、経験や希望条件を整理しながら一緒にキャリアの軸を見つけてくれる転職エージェントも増えています。
特に若手支援に強いリクルートエージェントなどは、ただ求人を紹介するだけでなく、「どんなキャリアを描きたいのか」を対話ベースで掘り下げてくれます。
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まとめ|「条件」だけじゃなく「理由」で選ぶ人が、転職で後悔しない
転職活動では、どうしても「年収」「働き方」などの条件に目が行きがちです。
でも大切なのは、「なぜその条件を大切にしたいのか」「どんな働き方が自分に合うのか」を言語化すること。
条件そのものは悪ではありません。でも、「軸なき転職」は、人事に見抜かれやすく、入社後にギャップを感じやすくなります。
転職を成功させたいなら、「条件」+「価値観」の両方を持った状態で企業を選んでいきましょう。
あなたの“納得感ある選択”が、これからのキャリアの満足度を大きく左右します。