面接で「自己PRやり直して」と言われた私が、人事になって思うこと

就活の自己PRに失敗して面接官に「やり直し」と言われた話 独り言
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大学生のとき、私はある面接で沈黙してしまったことがあります。
自己PRを話し終えたとき、面接官にこう言われました。

「本当に今の自己PRでいいの?やり直してみて」

今だったらちょっとした炎上案件かもしれません。笑
でも当時の私は、ただただ頭が真っ白になって、何も言えなくなってしまいました。

あれから10年以上が経ち、私は今、人事として毎日誰かと面接しています。
だからこそ、あのときの自分と同じように緊張している人を見ると、心の中でいつもこう思うんです。

「大丈夫だよ、今のままでもちゃんと価値があるよ」

沈黙してしまった、あの面接のこと

大学4年の春、私はあるIT企業の面接を受けていました。
どちらかというと大手寄りな堅めの業界で、説明会や筆記試験はなんとか通過。
いよいよ面接というタイミングでした。

面接の雰囲気は、いかにも「試されている」という感じ。
面接官は3人。圧迫ではないけれど、にこりともせず淡々と進む質問。

そして「では、自己PRをお願いします」というお決まりの流れ。

私は、準備してきたエピソードをそれなりに話したつもりでした。(今考えると、かなりテンプレな自己PRだったと思います)
そして話し終えた瞬間、面接官の一人がこう言いました。

「本当に今の自己PRでいいの?やり直して」

一瞬、何を言われているのか分からず、頭が真っ白に。
笑顔も浮かべられないし、言葉も出てこない。
「やり直すって…どこから?」「何がダメだったの?」
そんなことばかりが頭をぐるぐるして、結果的に私は“沈黙”してしまったのです。(正直、ちょっと泣きそうでした)

でも気を取り直して、「申し訳ありません、もう一度やらせてください」と返し、
今度は準備してきた内容ではなく、幼少期から遡って、自分が自慢できることを淡々と話していきました。

事前準備していない内容なので、話の順序はバラバラだし、内容にもまとまりがなかったと思います。

でも話し終えたとき、面接官が
「あなたの良いところ、本当はたくさんあるじゃん」
と言ったんです。

面接官は、私のテンプレな自己PRを見抜いていて、素の部分を探ろうとしたのかなと思います。

でも、面接はその後も続きましたが、私は自信を完全に失ったまま終わりました。

あれって圧迫面接だった?今になって感じること

素の部分を出す目的だったとしても、あのときの面接は、正直なところ「ちょっと圧迫気味だったな」と感じます。
当時は「自分の力不足」「準備が甘かったんだ」と思っていたけれど、今の自分から見ると違う視点があります。

そもそも「やり直して」という指示って、すごく抽象的なんですよね。
改善点を明示せずに再チャレンジを求めるのは、意図的に困らせようとしていると思われかねません。

私も人事として面接をするようになり、もし自己PRのやり直しを求めるとしたら、

「よかったら、もう一度その経験について詳しく教えてもらえますか?」って言うと思います。

緊張している若者に寄り添う言い方って、いろいろあると思うんです。

それに、人事として多くの候補者と接してきた今だからこそ分かることがあります。

面接でうまく話せないからって、その人に価値がないわけじゃない。

あの日の私は、価値がない人間みたいな気持ちになってしまった。でも本当は、そうじゃなかった。

今の私なら、学生にどう声をかけるだろう?

もし、あのときの自分が今、私の前に応募者として座っていたら――。

たぶん私は、笑ってこう言います。

「すごく緊張していますよね。大丈夫、少しゆっくり話してくれていいですよ」

そして、伝えたいのは「自己PRに“正解”はない」ということ。

もちろん伝わりやすさや構成の上手さはあるけれど、それより大事なのは“その人らしさ”。
経験をどう捉えたか、何を学び、どう未来につなげようとしているのか。

面接は評価の場ではあるけれど、「本来の自分を見せてくれるかどうか」が最大のポイントなんです。

私はいま、「話すのが得意じゃない人」こそ、丁寧に向き合いたいと思っています。

面接って、評価じゃなくて“対話”でいい

最近、特に強く思うのはこれ。

面接って、「評価する場」というより、「対話する場」であってほしい。

もちろん企業側としては、合否を出すためのプロセスです。
でも、それだけじゃもったいない。

むしろ、お互いを知る時間。
「この会社は自分に合いそうか?」「この人と一緒に働けそうか?」
そういう、双方の確認作業として面接があるんです。

だから、ちょっと噛んでもいいし、途中で止まってもいい。
「今の話、少し言い直していいですか?」も、ぜんぜんOK。

完璧じゃなくても、その人のペースで、言葉で、話してくれたら、それが一番嬉しいです。

10年以上前に沈黙してしまった私も、ちゃんと働いて、キャリアを積んで、こうして人事として人と向き合っています。

「うまく話せなかったから不採用」なんて、キャリアのすべてを決めるわけじゃない。

うまく話せなくても、大丈夫。あなたのペースで

この記事を読んでいるあなたが、もし過去の私のように、面接でうまく話せなかった経験があるなら。

そのときに思った「自分はダメだ」「自信がない」という気持ちを、全部信じなくても大丈夫。

あの日、沈黙してしまった私にも、未来はちゃんと開けていました。

面接は、あなたを試す場所じゃなくて、あなたのことを伝える場所です。
そして、あなたらしさは、伝える努力をすれば必ず届きます。

焦らず、比べず、自分の言葉で話してみてください。

「そのままのあなたを知りたい」
人事として、そう願っている人も、ちゃんとここにいますよ◎


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